まぼこさんによる冬季の湿度管理に対する考察

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本日は福島県の一条ブロガーである、まぼこさんによる冬季の湿度管理についての考察をしてみます。

まぼこさんによれば、湿度管理をしっかり行えば、窓の結露は概ね防止できるとのことです。

そして、一条ハウスは冬季は乾燥するとよく言われ、加湿器は必須だとよく聞かれると思います。果たして本当なのでしょうか?まぼこさんは別の記事で加湿器が必要という固定観念は捨てようとも仰ってました。

これまでの一条施主の定説を覆すような内容が多々出ていますが、放射温度計やより正確な温湿度計を利用した測定に基づく考察であり、高気密高断熱住宅に起きる現象は科学的なアプローチから解明できることを示しています。

それでは分かりやすい、まぼこさんの記事を盛大にお借りしながら私の意見を述べさせて頂きます。

 

高気密高断熱住宅への誤解

まずは誤解がないように言葉の意味から考えてみましょう。そして、高気密高断熱住宅にはこれまでの住宅の常識はほぼ当てはまらないと思いますから、他人から聞いた話が最先端の知識か自分で調べてみましょう。

一条工務店で家を建てる際に初めて高気密高断熱住宅という存在を知るという方も多いと思いますが、高気密高断熱住宅は低気密住宅とは大きく住み方を変えた方が快適に過ごせると言えます。

高気密高断熱住宅は空気が漏れない保温された空間であるため、冬季においても今までの住宅とはことなる現象が起きます。その1つに相対湿度の大きな低下=乾燥があります。

 

室内が「乾燥する」の意味を理解しよう

2018年1月の東京の外気は、アメダスデータによると平均で温度は4.7℃、湿度は54%でした。

一般的には湿度は40%~60%に保ちましょうと言われていますから、湿度54%は丁度良いと言えます。そして、家の中には人間が住んでいますし炊事洗濯をしますから、むしろ家の中の方が湿度が高くなるはずです。

では、なぜ一条ハウスは乾燥すると言われるのでしょうか?その仕組みを考えたことはありますでしょうか?

空気は暖めると膨らむことは多くの方はご存じでしょう。しぼんだ風船は暖めれば膨らみますよね。

仮に室内における水蒸気の量が変わらないとします。その状態で部屋を暖めると空気が膨らみます。つまり水蒸気の量は変わらず、空間が大きくなるので、水蒸気の空間に占める割合は下がります。

この水蒸気の空間に占める割合は皆さんがよくみるパーセントで表現される相対湿度というものです。でも、そこにある水蒸気の量は変わっていません。この変わらない水蒸気の量を絶対湿度と言います。

暖かい家だからこそ空気が膨らんで相対湿度が下がる=乾燥すると言われているに過ぎないのです。つまり、寒い家は相対湿度が高い=乾燥しない家は逆に言えば寒い家だということになります。

暖房方式が床暖房であってもエアコンであっても、空気を暖めれば膨張して相対湿度が下がる=乾燥するという単純な物理現象です。床暖房だから乾燥する訳ではなく、暖かい家は基本的に乾燥するのです。

 

乾燥するなら加湿すれば良いのでは?

加湿は最後の手段であるべきです。最初から加湿するのは室内の状況をよく把握してからにしないと、窓に大量の結露が発生します。窓の大量の結露は毎日の拭き取り作業の問題や放置すればカビの発生を招きます。

室温を上げれば乾燥しますから、最初は家の中の冷気(コールドドラフト)対策をすることです。家の中に温度差があると、数℃の差であっても暖かい部屋の足元に他のエリアから冷気が流れてきて寒く感じます。

リビングが寒いからといって床暖房の設定温度を上げると相対湿度が下がって乾燥しますから、床暖房の設定を見直して家の中の温度差をなくし、リビングの室温を下げることが相対湿度の上昇につながります。

高気密高断熱住宅の究極の姿は家の中の温度差を1℃以内にすることにあると思います。この状態では家の中の空気が動かなくなるため、格段に体感温度が高まるからです。

特にトリプルサッシではないペアサッシのお宅は窓が結露しやすいですから、加湿器による加湿はよく検討されてから行った方が良いでしょう。

 

本当に加湿する必要があるの?

これは個人の体感による差が大きいと思います。私は相対湿度が30%台でも何ともないため加湿はしていません。加湿しない方が窓の結露が予防できるため体感的に問題がなければ加湿しないことをお勧めします。

しかし、温湿度計に表示されている相対湿度は機器ごとの測定誤差が大きく、特に一条工務店からプレゼントされる温湿度計は我が家においても10%程度は相対湿度が低く表示されます。

一条支給の温湿度計においても個体差はあると思いますが、そこから湿度を判断すると過剰に乾燥していると誤った判断をしかねないため一条の湿度計は使わない方が良いでしょう。

加湿器は頻繁に洗わないと雑菌の繁殖装置となりますから、むしろ雑菌をばらまき有害にすら成り得る機器です。加湿器を使うのであれば塩素の入った水道水を入れて利用し、小まめに洗浄することをお勧めします。

乾燥すると木材が収縮して壁紙に隙間ができるじゃないかと考える方もいると思いますが、壁紙の隙間は加湿しても起きると思いますし、メンテナンスキットのコークボンドを使えば自分でも簡単に直せるものです。

なお、相対湿度が40%を切るとインフルエンザに罹りやすくなるという問題については私見ですが、相関の取り違えだと思います。もし相関関係が高いなら相対湿度の低い高気密高断熱住宅ではインフルエンザが蔓延しなければなりませんが、そうはなっていないと思いませんか?

 

相対湿度と絶対湿度の使い分け

電車で例えると相対湿度は乗車率、絶対湿度は乗車人数です。絶対湿度という言葉は聞きなれないと思いますが、高気密高断熱住宅を乗りこなす上で必須ともいえる知識です。

高気密住宅の中で暖房器具を使えば空気が膨らみます。電車で例えると乗っていた電車が広くなるということです。乗客数(絶対湿度)が変わらないのに電車が広くなれば乗客率(相対湿度)は下がります。

でも、相対湿度と絶対湿度はどんな時に使い分けたら良いのかわかりませんよね。

人間の生活を(湿度による快適性や洗濯物の乾き具合など)を考える時には相対湿度を使い、窓の結露などの物理現象を考える時には絶対湿度を使うと良いと思います。

 

 

まぼこさんの記事への考察

それではそろそろ、まぼこさんの記事への考察をしていきましょう。

 

掃き出し窓が結露するとは限らない

最近の掃き出し窓は各メーカーともに気密性が高まっているとも言われており、気密性については必ずしも掃き出し窓=悪という訳ではないと思います。

掃き出し窓や引違い窓は障子が2枚ある形であるため、どうしても面積が大きくなりやすく、窓からの熱損失を増やしてしまうことが問題と言えますから、掃き出し窓は少ない方が良いですね。

そして、結露においてもう1つの問題は窓への陽当りであり、窓が1日を通じて温まらい場合は結露がしやすくなるというのは、まさにその通りだと思います。

やはり、面積の大きな窓は冬に日射の取れる南側以外には設置しないことをお勧めします。夏の暑さ対策のためにも南側の窓の外には日除けを付けて、南側以外の窓はなるべく小さくした方が1年を通じて住み心地が良くなると思います。面積の大きい勝手口ドアも必要がないなら無理に付けない方が良いでしょう。

窓は高い位置にあると小さくても室内が明るくなるため、明り取りの窓はJK2020のような高い位置にある小窓を設置すると良いでしょう。また、ベランダのない部分の二階の腰高の窓は子供が転落する恐れもあります。

何となく日本では随所に大きな窓を設けてしまう風習がありますが、高気密高断熱住宅を制するにはまずは窓が重要ですから、人感センサーの勝手にスイッチで照明が点灯するエリアは窓は要らないとさえ言えます。

最近の高気密高断熱住宅ではポツ窓と呼ばれる小窓をバランスよく配置しているデザインの家が見られますから、まずは小窓をベースに設置して必要に応じて掃き出し窓や引違い窓を設置すると良いでしょう。

 

ダブルハニカムシェードは結露に関係があるのか?

今回の記事で一番、興味を持ったのはハニカムシェードと窓の間の空気層の厚さによって、窓の結露に影響があるかということをまぼこさんが疑問に思っていた部分です。

 

 

まぼこさんとしては、以下が一番の疑問点でしょうか。

空気層が減る=内包する水分量が減るわけで結露が減るのではないか?

同じような場所にある双方の窓を放射温度計で測ってみないと何とも言えませんが、結論からいうと”内包する水分量が減る”という部分以外は合っていて、私からみると反対側から見ている感じでしょうか。

まず、空気層の厚みによる空気の断熱性能は変わりません。サッシのガラス層を見て頂けるとわかりますが、空気層は12mm程度までで、それ以上だと空気は対流し始めて断熱性能を発揮しません。

そうなると今回の空気層の厚さという観点からは両者とも12mmを超えていますから、空気の断熱性能に違いはないということになりますが、室内からの距離という面では両者は異なります。

ハニカムを下した窓のサッシが結露する仕組みをもう一度考えると以下だと思います。

  1. ハニカムの高い断熱性能によって室内からの熱が遮断されて窓が冷える
  2. ハニカムは不織布であるため、空気は遮断できても水蒸気は通過してしまう
  3. 結露が発生するとサッシ周辺の絶対湿度が下がるため、室内から水蒸気を次々と呼び込む
  4. 結露が発生すると凝縮熱により周辺空気の温度が下がるため結露が拡大する

空気と水蒸気は分子の大きさがまったく違うため、ハニカムシェードは空気は遮断できても、小さな分子の水蒸気は遮断できないため、サッシに結露が始まると水蒸気が室内側から供給され続けてしまいます。

さて、まぼこさんの空気層の厚みに関する考察についてですが、水蒸気は自由にハニカムを通過してしまいますが、空気層が少ない方が室内からの距離が近いため、室内から伝導する熱が多くなります。

結果として、空気層自体の温度が下がり難くなるため、空気層が薄いとサッシが結露し難いということへとつながります。要するに暖かい室内から冷えるサッシまでの距離の問題かと思います。

それにしても、まぼこさんの考察は毎回楽しいですね。あー、そう考えたんだと自分と違った視点に新しい発見を感じています。全館冷房の時もワットチェッカー無しでみはりん坊Wだけで完成させてましたから。

 

正しく運用すれば湿度は40~55%ほど

入居初年度は建材からの放湿量が多いため、窓の結露量は多いと思います。

入居2年目のまぼこさん宅は、加湿をせずロスガードが正常に機能して換気量が足りているとすれば、それなりの生活排湿があって、それが室内の湿度上昇に寄与しているものと考えられます。

アメダスによると今年最も冷え込んだ1月25日の福島市の平均最低気温は▲3.9℃、湿度は75%でした。

外気 ▲3.9℃ 相対湿度75% 絶対湿度2.8g/m3
室内 21.0℃ 相対湿度41% 絶対湿度7.5g/m3
まぼこさん宅 床面積90.8m2、天井高2.4m、換気回数0.5回/時

と、すれば生活排湿は以下のように12リットル/日となります。

(7.5g/m3-2.8g/m3)×90.8m2×2.4m×0.5回×24時間=12.29リットル/日

生活排湿量に関してはパナソニックの資料がありますので参考にして下さい。概ね以下の計算になります。

  • 人 1名につき1.5リットル/日
  • 炊事 2リットル/日 ※調理時にキッチン換気扇を利用する家庭は除外
  • 家事 1リットル/日
  • 洗濯 0.5リットル/日
  • 洗濯乾燥 1.5リットル/日 ※ヒートポンプ式の場合は多くは結露水として排出される
  • 入浴 2リットル/日  ※入力後に浴室換気扇を利用する家庭は除外

と、いうことで、大人2人+子供1名(0.5人とする)のまぼこさん宅は以下のような計算になります。

人 3.75L+炊事2L+家事1L+洗濯0.5L+洗濯乾燥1.5L+入浴2L=10.75リットル/日

換気からの加湿量の計算が12リットル/日ですから概ね合致しますが、実は建物は換気以外にも建物からの漏気があるため、もっと加湿量があるはずなんです。

そして、キッチンの換気扇や浴室の換気扇を冬季に沢山回す家は生活排湿があまり得られないのではないかと思います。

IHは換気扇の法的設置義務はないですから、調理の臭い気にならないならキッチン換気扇は回さない方が良いです。浴室に関してはドアを開けておけば乾きますから、浴室換気扇はそもそもなくても良いと言えます。

 

窓の結露を止めるには

ハニカムシェードを全閉しながら窓の結露を予防するには、まぼこさんが今回実施されたように、放射温度計を使って自宅の窓の露点温度を求め、みはりん坊Wで絶対湿度を監視することが正しい方法だと思います。

ただし、ペアサッシの方はトリプルサッシよりもサッシが冷えやすくハニカムシェードの全閉はかなり室内の絶対湿度を下げないと難しいことは結露計算から分かっています。

では、まぼこさんの記事から考察をさせて頂きます。計算についてはF式結露計算シートを利用しています。

計算条件はブログから拾わせて頂きましたが、外気温は▲6.1℃、外気の絶対湿度は当日のアメダスから2.7g/m3としました。室温は19.7℃です。この状態ではサッシにほぼ結露なしとのことです。

 

トリプル樹脂サッシの場合(U値0.6W)


ご覧下さい。外側温度という列を見るとハニカムの室内側の表面温度が18.4℃でサッシ側が9.1℃まで下がっています。ハニカムシェードは非常に断熱性能は優秀です。

まぼこさんの測定ではガラス表面が7.3℃、窓枠が6.3℃でした。上記の私の計算だと窓の平均温度は8.1℃でしたので若干高いですが、実際はまぼこさん宅においては窓に当たる風の影響があるのかもしれません。

室内の温度が19.7℃で絶対湿度が7.6g/m3ということは、相対湿度は45%になります。その状態では露点温度は6.1℃と計算されており、実際にまぼこさん宅で結露はほとんどないという状況と近いです。

ただし、ハニカムシェードを閉じた状態の空気層の相対湿度が87%にもなっていますから結露寸前の状態と言えます。この結露寸前のギリギリの状態を維持してコントロールしているまぼこさんは大したものです。

 

ペア樹脂サッシの場合(U値1.09W)

では、同じ条件でペアサッシの場合、室内の相対湿度は何%まで窓が結露しないか計算してみました。結果として福島県における寒波の状態では相対湿度を32%まで下げないと窓の結露が発生することがわかりました。

ペアサッシの室内側の表面温度は3.3℃と計算されますから、トリプルサッシと比較して4.8℃も低い結果になります。この温度差は結露の発生に大きく影響します。

トリプルサッシと比較すると相対湿度は13%、絶対湿度で2.2g/m3も差がありますから、加湿をすればサッシが結露しますから人によってはかなり住み心地に影響がでるとも言えます。

この結果から、トリプルサッシとペアサッシの性能差は相当に室内の相対湿度に影響がでることがわかります。トルプルサッシ=暖かいというだけではないんですね。

 

窓の結露に悩んでいる方へ

ペアサッシにおいて結露に悩む場合はハニカムシェードの下を思い切って上げてしまった方が良いのですが、全部のハニカムシェードを外してQ値を計算し、北海道の札幌として仮定した場合、暖房エネルギーは1.32倍増えると計算されました。

暖房代を気にするようであれば、やはり室内の相対湿度を下げてハニカムシェードを下すということになると思いますが、窓の結露を防ぐなら相対湿度は30%以下にする必要があるでしょう。

もう一つの手は、使わない窓はフィルムを貼って冬の間は水蒸気が通らないように嵌め殺しにすることです。これはハニカムシェードのすぐ後ろに両面テープ等で枠を回しそれにマスカーテープなどを貼る方法です。

実際に温暖地の私では実験ができないので上手くいくのか分かりませんが、理論的にはサッシへの水蒸気の動きを止めることが結露防止に大きな効果があります。

 

最後に

まだ、U値が2.7W程度のアルミ樹脂複合サッシを使っているハウスメーカーもありますから、一条工務店の窓は充分に高性能と言えます。

一条工務店の家の性能は日々進化していきますから、トリプルサッシを採用できなかった方は悔しい思いをされていると思いますが、最近の一条工務店の坪単価はうなぎ登りですから何とも言えないところです。

2017年に引き渡しを受けた我がi-cubeにおいては準防火地域への建設でしたから、できるだけトリプルサッシを採用するために、延焼ラインを外して窓の位置を考えながら設計する必要がありました。

玄関ドアにおいても延焼ラインを外さないと準防火地域ではK2.0の防火玄関ドアになってしまうため、これも間取りを考える上での制約事項でした。

今後は一条工務店が準防火地域用の防火トリプルサッシを開発したため、かなりの方が湿度管理をすれば窓の結露は激減すると思います。あとは早く玄関ドアの性能を上げて欲しいものです。

全館暖房を行う高気密高断熱住宅において、窓の性能はとても重要で窓は熱損失の量が多いということだけではないのです。窓の性能が良いと室内の湿度を高くすることができるということなんですね。

 

本日は以上でございます。