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日本の家作りはバラバラ

住宅業界は大手住宅メーカー10社のシェアは30%にも満たないのです。実は、圧倒的多数を地域の大工さんや工務店が占めているのです。要するに家の建て方がバラバラなので、消費者が家選びに困ってしまう状態です。

(出典:一条工務店

2020年(平成32年)から建てられる家は省エネ基準が義務化されてます。これにより高断熱住宅の普及が進むものと思われますが、高気密の基準は設定されていないため、この省エネ基準は多くの住宅事業者がクリアできる低い基準です。この基準をクリアしたところで、冬暖かく夏涼しい家にはならないでしょう。

日本の住宅業界は中小の事業者が多く、気密測定などの施工に手間が増える基準が導入し難い環境が続いています。しかし、気密を重視する一条工務店の躍進によって、様相が変わる可能性があります。

昔ながらの家を作る大工さんは高気密高断熱住宅を理解していないと思います。木は隙間を設けて風通しを良くしないと腐ると考える人も多いでしょう。

高気密を否定するなんてそんな馬鹿なと感じるかも知れませんが、一方でこれから新しく家を建てるようと思っている消費者側も、夏は家に風を通さないとカビが生えると思っている方が多いことでしょう。

実際は高気密高断熱住宅の季節ごとの挙動は科学的に解明されていて、いままでの常識とは異なる発想をすると、より住み心地が良くなる事が分かっています。

家作りは室内の温湿度がすべてではありませんが、住宅業界においても高気密高断熱住宅の温湿度のコントロール方法を知る人は少ないと思います。実際に住宅業界の方でも高気密高断熱住宅に住んでいる人は少ないでしょう。

現状では、多くの人は生活習慣は変えずに高気密高断熱住宅を設計していると思いますが、高気密高断熱住宅の季節ごとの挙動に応じた設計をすると、より一層快適な暮らしが送れます。

昔から便利なものが登場して生活習慣が変わるということは良くあるため、高気密高断熱住宅のその1つだと思えば良いと思います。昔は冷蔵庫や洗濯機もなかったわけですから。

エコハウスのウソ

人間は便利すぎたり快適過ぎたりすると体が弱くなるという意見もありますが、これだけ寿命が延びている現代ではその意見は意味をなさないと思いますし、冬に全館床暖房の家を選んだ方はすでにその考え方は崩壊しています。多くの時間を過ごし体力を回復してくれるのは自宅です。自宅が暑さや寒さを和らげ、ぐっすり眠れるという家こそが、本物の健康住宅だと言えましょう。

私は夏に高気密高断熱住宅において風通しをしてみましたが、湿度が高くて快適性に劣る事を身をもって知る事になりました。私が現自宅を建てた後に発刊された、この書籍にも風通しを取入れたパッシブデザインの家は快適ではないと書かれています。長年、高気密高断熱住宅に住んでいる私からみても頷けることが多いです。

 

東京大学大学院の建築環境の研究者である筆者は、この本の冒頭に以下のように書かれています。

エコハウスはみな、快適で地球環境に優しいことを主張している。しかし、その手法はみな似たり寄ったり。つまり、「定石」があるのだ。壁を埋め尽くす「大きな窓」に、開放的な「吹き抜け空間」。通風バッチリで暑い夏も風だけでしのげるから、憎きエアコンはもういらない。そう、かの吉田兼好も言っていたではないか。「住まいは夏を旨しとすべし」と・・・・。(中略)このような「定石」に彩られたエコハウスが、今日も建築雑誌のグラビアを飾っている。(中略)筆者と研究室の学生は、かなりの数のエコハウスを実地に計測してきている。そして、その多くが「残念」であり、定石の大部分が「ウソ」である事に気付いた。

恐らく、パッシブデザインを考える人はそれを商売としているか、若しくは24時間全館冷暖房が格安で出来る事を知らないだけだと思います。例えば小型エアコン1台による24時間全館冷房はランニングコストもエアコンを小まめにオンオフする間欠運転した場合とあまり変わらす、カビや冷房病とも無縁な高温低湿度の世界です。

対処療法と根本対策

同じ一条工務店の施主においても、春は窓を閉めていると暑いという方と、窓を閉めると快適という方がいます。また、夏はエアコンを入れると湿度が80%を超える方と50%程度で快適な方がいます。

これらの事象は随分前から高気密高断熱住宅では分かっている現象なのですが、多くの方が対処療法の設計に向かい、根本治療を図る設計をしない傾向にあります。このような問題の捉え方の違いはなぜ起きるのでしょうか?

  • 例1:高気密高断熱住宅は春から室内が暑くなる
    • Aさん 部屋が暑くなるなら窓に網戸を付けて風通しの良い家にしよう
    • Bさん 窓に日除けをしっかり付けて室温が上がらない家にしよう
  • 例2:高気密高断熱住宅は夏は湿度が高くなる
    • Aさん 窓をあけよう(湿度は60%以下にならない:カビは予防できてもダニは予防できない)
    • Bさん 窓を閉めてエアコンで除湿しよう(湿度が60%以下になる:カビもダニも予防できる)
  • 例3:高気密高断熱住宅は冬は乾燥する(相対湿度が下がる)
    • Aさん 乾燥するなら加湿器で加湿すればよい(絶対湿度を上げる)
    • Bさん 室温を下げれば相対湿度は上がるから、室温を下げても寒くない家を作ろう(絶対湿度は上げない)

Aさんは対処療法、Bさんは根本治療という事なのですが、どちらでも良いのではないかと思いますよね。しかし、対処療法の設計をしてしまうと後々困った現象が出てくるのです。

実は私の二軒目の高気密高断熱住宅の自宅はどちらもできるように設計しました。当時の私はまだどちらが優れているか分からなかったからです。ただ、両方の生活を試した今となっては答えは明らかです。

高気密高断熱住宅に住んでいる人の多くが、冬以外は窓を開閉して通風する事で高気密な性能をあまり使わない事から室内の湿度をコントロールできていない事と、窓に日除けを付けていないために熱が籠ってオーバーヒートして春から熱帯夜になってしまっています。

南方系と北方系の設計

なぜ対処療法と根本治療といった設計方法が分かれるのでしょうか。それは日本人のルーツと生活習慣にあると私は思います。

高温多湿な日本ではカビを予防するために窓を開けて通風する生活習慣が根付いています。窓を開けて風を入れるという事に心地よさを覚えるということは文化として根付いているでしょう。

しかし、小型のエアコン1台だけで、電気代も増えず、夏の室内の湿度を60%以下にコントロールして、熱帯夜もないもっと快適な世界が実現できるとすれば、あなたならどんな家を設計しますか?

室温は少し動くと発汗する程度にして、冷房病も熱中症もない快適な世界があります。花粉症や気管が弱い方にとっては夢のような世界でしょう。ただ、その快適な世界は通風を止めることによって得られるため、日本人のように窓を開けて風を通す事が好きな民族には理解されにくいのです。

高気密高断熱住宅の設計の違いはなぜ起こるか、経緯を含めて私なりの解釈を述べさせて頂きます。

高気密高断熱住宅には南方系と北方系の生活スタイルがある

日本人の多くのご先祖は南方からやってきたという説が有力です。日本には古来から建物の耐久性や害虫駆除のために、天日干しと通風という習慣があります。高温多湿な地域に有効な生活習慣です。これは窓を開けて通風する南方系と言われる生活スタイルです。

しかし、気密測定をしてC値が1cm2/m2以下の家であれば、夏は窓を閉めて1台の小型エアコンを用いて消費電力はそれほど増やさずに、全館冷房で湿度をコントロールしてカビを予防できるようになります。この窓を開けない生活は高気密高断熱住宅の発祥地である寒冷地にちなんで北方系と言われます。

設計時に全館冷房による除湿を考慮していない場合は、南方系の通風する生活習慣でカビの発生を予防するしか手はありません。多くの方が高気密高断熱住宅の春から夏は窓を開けて生活するために網戸が必要と回答するのは冬以外の住み方を南方系で設計しているためです。

しかし、市街化が進んで周囲に山林や緑地がない場所では夏は夜でも気温が下がらず涼風は吹かない事は皆さん良くご存じだと思います。窓を開けても暑くて寝られず、窓を閉めてエアコンにタイマーを掛けて寝ていませんか?

窓を開けて通風をする自然エネルギーを利用した通風計画は都市部の住宅地の夏には破綻しやすいため、必要な時だけエアコンを使う生活から常時エアコンが使える家を設計した方が確実ではないでしょうか?

パッシブ換気には建物の上下で換気をしないと熱が抜けない事が分かっています。吹抜けがあって、一階と二階に防犯上も夜間に開放できる窓がなければ成立しません。こんな設計はほとんど無理です。

窓を開けなければ暑くて過ごせない高気密高断熱住宅は、子供や寝たきりの家族、そしてペットがいる家庭では、熱中症になる可能性が高まります。

その対策として、常時エアコンを利用しても冷房病にならず、消費電力も少ない家を作ればいいのです。高気密高断熱住宅ならそれができるのに、出来ないと思い込んでいる人が多いのが現状でしょう。

室内が暑くなると窓を開けたり、窓を閉めてエアコンを入れる温湿度調整が面倒な家よりも、ローコストに一年中窓を開けずに温湿度が安定した住み心地の良い家に住む事が悪い事でしょうか?体が鈍るという事であれば床暖房による全館暖房も同じではないでしょうか?

常時エアコンを利用するには消費電力を抑え、冷房病を予防するアイデアが必要になってきますが、既にこの方法は確立しています。多少のノウハウが必要ですが、本稿ではその方法をご紹介ます。

初めて家を建てる人が高気密高断熱住宅の性能発揮方法まで想像する事は困難だと思いますが、高気密高断熱住宅は設計次第で南方系と北方系の生活スタイルに分かれる事を理解すると良いでしょう。

高気密高断熱住宅は決まった3つの型に分かれる

高気密高断熱住宅は窓を開けないクローズドと窓を開けて通風を重視するオープンの2パターンの設計に分かれますが、さらにオープンの中には窓の日射制御が弱い一般的な高気密高断熱住宅と日射制御をしているパッシブデザインとに分かれます。

  • クローズドな家(窓の日射制御をして窓をあけない。全館冷房の設計をすれば湿度コントロールが可能。)
  • オープンかつ窓の日射制御が弱い家(窓をあけて通風。日射制御と湿度のコントロールができない。)
  • オープンかつパッシブデザインな家(窓をあけて通風。湿度のコントロールができない。)

オープンで窓に日射制御がない家は窓が大きくて熱が籠る高気密高断熱住宅です。大きな窓・開放的・風通し・自然素材・無垢材・調湿なんて言葉が心地よく並ぶ家だと思います。

さらに、オープンで窓に日射制御がしてあるパッシブデザインの家は自然エネルギーの活用を目指している事から、窓を開けて通風して涼を得ようとしますが湿度のコントロールが考慮されていないと思います。

一方、私の推奨は日射の取れる南側以外はクローズドな家ですが、クローズドな高気密高断熱住宅は、日射制御・湿度管理・完全部屋干しなど従来の家作りと全く異なるキーワードが並びます。

この違いは湿度のコントロールにあります。高温多湿な日本の生活においては、大昔から湿気が籠らないように風通しには工夫をしてきました。しかし、24時間ずっと窓を開けている訳にはいきません。

この解決方法は高気密な性能を活かしてエアコンで除湿をする事です。24時間除湿をするためには、窓を閉める必要がありますが高気密高断熱住宅は日射熱が籠りますから、窓の日射制御をする必要があります。

このように、高気密高断熱住宅にはオープンな設計とクローズドな設計方法があり、圧倒的にオープンな設計の家が多いですが、それは南方系の生活スタイルがもたらしたものと言えましょう。

北方系の設計ポイント

しかし、高気密高断熱住宅の性能を1年を通じて発揮するには、クローズドな北方系の家にする必要がありますが、これが世間に理解されるまでには、まだまだ時間が掛かると思います。

ただ、よく考えれば高温多湿な日本においてこそ、クローズドな北方系の家が適合している事がわかります。ここでは、高気密高断熱住宅の性能を発揮する特に重要な3つの設計ポイントをご紹介します。

設計ポイント1 ダニ対策:全館冷房

高気密高断熱住宅は冬以外の季節に窓を閉める人と窓を開ける人に分かれます。これは住宅の専門家でも意見が分かれる難しい問題です。エアコンの冷房運転が室内の温度を下げるだけで除湿機の代わりになる事すら知らない専門家もいます。

生活スタイルの意見が分かれる原因は、日本人が古くから受け継いできた南方系の開放的な生活様式や、エアコンのON・OFFをする省エネ意識が浸透しているため、全館冷房を意識した設計をする人が少ないからでしょう。

24時間冷房を入れていると冷房病になると心配されると思いますが、小型のエアコン1台を人から離れた位置に設置して家全体を冷房するため、室内は高温低湿度の空間になります。温度はお好み次第で快適にも発汗する程度にも出来ます

家庭用のエアコンを24時間運転すると早く故障すると思う方がいると思いますが、我が家の二階のエアコンは冷暖房で利用するため年間8か月も常時運転を5年間していますが、壊れずに快調に動いています。

高気密高断熱住宅は設計次第で窓を閉めて全館冷房してダニの発生しない家にする事ができます。カビは湿度80%程度から発生しますが、ダニは湿度60%を超えると発生すると言われていますので、通風してもダニは抑制できません。

ダニは主要なアレルゲンです。これを撲滅させる根本治療は全館冷房による24時間除湿しかないのです。

設計ポイント2 オーバーヒート対策:軒、庇、スダレ掛け

高気密高断熱住宅は春から暑くなるから網戸が必要という話は聞いた事があると思います。そして、この対策は設計段階で意見が分かれます。

昔の家は深い軒の出と窓には庇がありました。なぜ現代の多くの家には庇がないのでしょうか?

庇があれば季節に応じて日射を取り入れたり、日射を取り入れない事ができます。この昔ながらの日本の知恵が現在の住宅には引き継がれてないのです。

北海道で結露防止のために開発された外壁通気工法の普及により防水シートが外壁に設置され、軒の出や庇が無くても防水が可能になりました。庇がないと家の見た目がスッキリしますし、建築コストも下がります。

深い軒と庇が無い家はモダンなデザインの家という事で消費者にも広く受け入れられているのが現状ですが、この状態で家の断熱性能を上げると春から暑い家になり、対処療法として窓を開けて通気する事になってしまいます。

根本治療は網戸を付けて窓を開ける事ではなくて窓に日除けを付ける設計が重要なのです。特に陽の当たる大きな窓は、窓の外側に日除けを付ける必要があります。

厚生労働省によると、花粉症を患っている人の割合は全体の25%とのことです。空気汚染とも関連も指摘されているため地域によって、割合が異なる可能性はあります。

窓に網戸はあってもよいですが、通風する生活は花粉症の人には辛いだけであり、窓を閉めても快適な家を設計しておく必要があります。網戸よりも窓の日除けや全館冷房が優先されるべきなのです。

設計ポイント3 コールドドラフト対策:床暖区画+エアカーテン

冬に結露を防止するには加湿器による加湿をなるべく抑える事が重要です。そのためには室温を下げると加湿しなくても相対湿度が上がるため、室温を下げても寒くない家を作る事が根本的に対策になります。

室温が高くても暖かくない家があります。一階と二階に温度差がある家では二階から冷気が一階に降りてきます。また、断熱の弱い玄関や大きな窓から発生するコールドドラフト(冷気)が床を這うと足元が冷えて暖かいと感じる事ができません。

床暖房の区画割に関しては、家の日が当たらない部屋と断熱の弱い玄関に方向に関しては、設定温度を高くできるようにした方が良いです。家の中の温度差は2℃(出来たら1℃)以内を目標に、二階と一階の室温差を無くし、さらに同じ階の温度差を無くると空気が温度差で動かなくなるため、格段に快適になります。

リビング階段の家は特に注意が必要で、二階から降りてくる気を打ち消そうとして一階の室温を24℃以上にしている家は対処療法であり、空気が暖められて膨張すれば相対湿度が下がって過乾燥に陥るのです。

大切なのは家の中に温度差を作らずに空気の対流を止めることです。根本治療は日当たりに応じた床暖の区画割と断熱の弱い玄関や大きな窓にはエアカーテンとしてエアコンや天井サーキュレーターを設置して該当部分の床温度を上げることです。

パッシブデザインの夏は快適ではない

世間では自然エネルギーを使ったパッシブデザインという設計方法が持て囃されいますが、それを鵜呑みにしてはいけません。

日本の夏はエアコンなしでは過ごす事は困難ですから、パッシブデザインのように風通しをメインとした家作りは止めて、エアコンを上手に使う事をメインとした方が快適な家になります。

パッシブデザインとは?

パッシブデザインとは光と風を取り入れ自然エネルギーの利用を目的とした家造りの手法であり、自然エネルギーだけでは快適性が足らないという場合は最低限の機械(アクティブ)の力を利用するという思想です。

一見、エアコンを極力使わない家と言うと省エネ性に優れる健康的な家だと思うでしょう。エアコンを使わないということは、エアコン冷房嫌いの方には朗報に聞こえますが、パッシブデザインが述べる快適性の概念は実際のところ全然快適ではないのです。

パッシブデザインでは湿度が調整できない

未だに、寒冷地向けの高気密高断熱住宅を温暖地に建てると夏は熱が籠って住みづらいから、窓を開けて通風を考えましょうなんて話がまかり通ってます。これは、小型エアコン1台で全館冷房ができる事を知らないためだと思います。

光(日射)を制御するというのは賛成ですが、風(通風)の利用に関しては夏は快適ではなく、湿度をコントロールするという発想が完全に抜けてしまっています。湿度が高いと人間にとって不快な空間となりカビやダニも発生しやすくなります。要するに高気密高断熱住宅に通風するパッシブデザインを採用すると夏が快適ではないのです。

夏に熱帯夜になる地域の市街地では近くに緑地や山がなければ、夜は気温も下がらず、住宅が密集している場合は風も効果的に得られないため、よく考えれば通風するパッシブデザインでは室温調整が難しい事はわかると思います。省エネだと信じ込んでわざわざ快適ではない家を作ってしまっているのです。

また、窓を開けないと暑苦しくて生活できない高気密高断熱住宅は防犯面や花粉症といったことに対応ができない家という事であり、窓を開けて室温をコントロールしようとする高気密高断熱住宅は設計の考慮が足りていない家と言えましょう。

このように記載している私も、2軒目に建てた高気密高断熱住宅では通風ができるようにも設計し、パッシブデザインの快適性が低い事を実感したから言えるのです。朝に窓を開けて涼風を取り込み、エアコンをなるべく使わない無冷房な生活を期待しましたが無理でした。

なぜなら、温暖地では夏の外気の平均湿度は80%にもなり、湿度が高い空間で生活する事はとても快適とは言えず、エアコンによる冷房や除湿がどうしても必要になるからです。そして、各部屋にエアコンを付けて運転すると冷房病になる人もいます。

当初は「エアコンを使わずに快適な家にしよう」と考えたのですが、エアコンを上手に使えばもっと快適になる事がわかりましたし、高気密高断熱住宅に住むという事はその時点で低気密な住宅より電気代が安いためエアコンは使うべきだと思います。

また、冬に関しても都市部は隣家が密集しているため、一階の窓から日射が取れる家などあまりないでしょう。二階リビングにすれば日射が期待できますが、窓を大きくすると、夜間や天気の悪い日は窓からゴールドドラフトが発生するため、トータルで考えると、窓は小さい方が良いとおもいます。

小型エアコン1台による全館冷房はパッシブデザインとは快適性の次元が違います。また、各部屋にエアコンを付けないため初期投資が下がりますし、冷房病にならなくて済みます。冷房のランニングコストについては再熱除湿を使わず冷房運転であれば24時間連続運転しても電気代は安いです。

初期投資もランニングコストも安く、さらに24時間寒くなく低湿度で快適な小型エアコンによる全館冷房を味わうと、雨が降ったら窓を閉め、熱帯夜になったらエアコンを利用するパッシブデザインの家をあえて作ろうとは、今の私には思えません。

また、冬季に太陽熱を利用した暖房システムをパッシブ換気と称している場合がありますが、天気の悪い日や夜間に太陽熱は取れないことから、やはり自然任せな不安定なシステムと言えます。冬季の日射利用は賛成ですがあくまでも補助機能でしょう。

安定して省エネな冷暖房をするのであれば、ヒートポンプの利用や地熱の利用が確実だと思います。自然の力を補助的に利用されれるのは結構ですが、それをメインに温度や湿度を調整する家は、快適性の安定感に欠ける家なのではないでしょうか。

確実な快適性を知ってしまった今となっては、四季折々の天候に左右されるパッシブデザインの不安定な快適性は、季節感があって良いとも言えますが、季節は家の外でたくさん楽しみたいと思います。

Q値が良い家が快適とは限らない

高気密高断熱住宅に住んだ事がある人であれば、Q値やC値といった数値では表現できない体感の快適さというものがある事に気が付くでしょう。ただ、初めて家を建てる場合に体感温度まで考えて設計する人は少数だと思います

Q値は家の平均断熱性能

家の平均断熱性能を現すQ値であり、家の断熱の弱点や湿度に関しては何もわかりません。

体感の快適さを追及するためには温湿度が全館で均一で湿度がコントロールされている必要があります。そのためには、窓からの日射熱、換気による湿度、室内温度差によるコールドドラフトの3点を制御する必要があるでしょう。

Q値が良い家ほど窓に日除けがなければ春から家に熱が籠って熱帯夜になってしまいます。冬の室内に温度差のある家はQ値が良くても足元の暖かさが物足りない家となり床暖房の設定温度を上げ過ぎれば今度は相対湿度が下がって空気が乾燥してしまいます。

春と秋の中間期は窓の外側で日除をすれば、窓を開けたりエアコンを使う必要はありません。中間期は日射制御がしっかりできた高気密高断熱住宅の室内はオーバーヒートせず、窓を開けて冷たい外気を取り入れて生活するよりも窓を閉めている方が室内が暖かくて快適な室温になります。

また、中間期は外気の絶対湿度が低いため、窓をあけて室温調整する事もできますが、花粉の飛び交う時期でもありますから、窓を閉めても生活できる窓に日除けのある家に設計しておいた方が良いでしょう。

夏は全館冷房しましょう

夏は室内に熱が籠り外気の湿度も高いですが、この熱が籠る性質を逆手に取って二階に設置した小型エアコン1台で24時間全館冷房する事ができます。小型エアコンを24時間運転していても室温は27℃前後で湿度だけが50%前後に下がっていくのです。

電気代も安く、カビやダニが発生しない、ウソのような本当の世界を知れば、もはや窓を開けて通風するパッシブデザインを採用する理由は見当たりません。室内が寒くないためエアコン冷房嫌いの方にも朗報だと思います。

一条工務店の家では冬は低いQ値を活かして全館暖房がリーズナブルな電気代で実施できますが、暖房の設定温度や間取り次第で発生するコールドドラフト(冷気)という、わずか数℃の室内の温度差の対策が体感温度を左右するポイントになります。

Q値やC値を一年中活用するには、窓の日射制御、湿度管理、コールドドラフト対策を考慮する必要があります。冬の全館暖房と同じぐらい、冬以外の季節も住み心地に感動する家が高気密高断熱住宅の目指すべき姿だと思います。

窓が小さい家は個性がない?

日射制御や断熱に拘って窓を小さくすると、のっぺりとして個性の無い家になるなんて言う人もいますが、それはデザインセンスの問題です。ドイツの家はポツ窓と言われる小さな窓がポツポツありますが、あれはあれでお洒落です。

外壁材によっては単純に窓を小さくするだけではのっぺりしてしまうかもしれませんが、連装窓や家全体の窓の設置バランスを考えて個性的な家にしている家も沢山あるでしょう。

逆になんとなく窓が大きい家が多いですが、それが個性的なのかと疑問に思います。他人と違う事が個性であるなら、周りの家と同じような窓のデザインをしている方が個性がないと思いますが、個性は人それぞれですからあまり語っても意味がありません。

窓が小さいと、解放感が足りないと思う方もいると思いますが、夏に熱帯夜のないカラットした全館冷房の家にはまた別の解放感があるのです。

住み方は人それぞれ

これは理屈ではなく、冬以外は窓は開けたい、風は通したいという、昔ながらの開放的な生活を志向する人と、冬以外も窓を閉めて湿度をコントロールしたいという生活を志向する人との生活スタイルの違いです。

どんな設計をするかは自由ですが、高気密高断熱住宅は設計次第で季節ごとに分かりやすい挙動を示します。設計に当たってはそれを知っておいて損はないと思います。

そして、ぜひ知っておいて頂きたいことは、高気密高断熱住宅は設計方法や使い方次第で湿度をコントロールできるということです。日本の家作りや生活習慣は湿度との闘いであったといえますが、湿度との闘いから開放されることも可能です。そのためには窓を閉めて全館冷房をする必要があります。

そして、夏にエアコンの電源をON・OFFを繰り返すと、立上りに負荷がかかるため、エアコンを24時間ずっとつけっぱなしにした場合と、気密性の高い家では電気代があまり変わらない事がわかっています。

全館冷房は体がなまるとか発汗しなくなって体に悪いと心配される人もいると思いますが、ダニを抑制できる湿度60%を切っていれば、少し室温を高めた暑めの全館冷房でも良いのです。汗を少しかく温度の全館冷房がお薦めです。

全館冷房をしている家でも、ずっと家の中にいる訳ではありませんから四季は家の外で感じます。家に帰って寝る時ぐらい熱帯夜がなくアレルゲンの少ない空間で体調を整えて、日中は仕事や学業に励む方が健康的ではないでしょうか。

一条の全館床暖房は他のハウスメーカーから、過剰設備だとか体を甘やかすと不健康になるなど批評されます。一方で全館暖房をしている一条の施主内でも、全館冷房に関して同じように意見が分かれるのは不思議な話です。

ただ、初めて家を建てる人は間取りや内装を考えるだけで頭が一杯になると思いますし、ハウスメーカーの提案がなければ住んだ事もない高気密高断熱住宅の使い方なんてわかる訳もありません。

家は三軒建てて初めて満足すると言われるように、私のように何軒か家を建てて色々失敗を経験して、初めてわかる事もあると思います。

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