設計

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同じ一条工務店の家でも設計の違いで全く違う生活スタイルの家になる

既に家を建ててしまった方はスルーして下さい。もしくはもう1軒、家を建てるとすればどんな設計をするか考えてみて下さい。家を三軒建てて色々失敗を経験してきた私からのメッセージです。

一条工務店で家を建てた多くの施主は、「春の暑い時は窓を開けて心地よい自然の風を通すと快適なので網戸は付けた方がよいですよ。夏はエアコンの温度設定が28℃でも高断熱高気密なのですぐに家が涼しくなりますし光熱費も安くて助かります。冬は全館床暖房なので快適ですよ。外が冬である事を忘れてしまいます。本当に一条の家は快適です」と答える人が多いと思います。

非常に素晴らしい事です。低気密な一戸建てや賃貸住宅などから一条工務店の家に引っ越した方は格段に住み心地が快適になったと感じると思います。水道光熱費も半分程度になっているのではないでしょうか。

しかし、この状態では冬以外の季節は高気密高断熱住宅の性能を使い切っていないとも言えます。一条工務店を含め、大手ハウスメーカーの高気密高断熱住宅は断熱材や機械設備がテンコ盛りな力任せの仕様になっていることが多いです。

一方で、地場ビルダーの作る高気密高断熱住宅は予算を抑えた分、性能は劣るものの随所に省エネの工夫がしてあるため、光熱費では一条工務店の家に勝る場合があります。

なせなら、高気密高断熱住宅にはもっと進んだ世界があるのです。この領域にたどり着いているのは日本でも少数の地場ビルダーだけだと思いますが、これをもって一条工務店を責める事はできません。一条工務店には全国に高気密高断熱住宅を展開したという偉業があります。

ただ、家を建てる施主からみれば、一条工務店と地場ビルダーが縄張り争いをしていても困りますから、それならば一条工務店の家に地場ビルダーの技術を織り込んでしまえば良いのです。そんな究極のハイブリッドな家作りを目指して、本稿を書かせて頂ておりますので、参考になれば幸いです。

 

一条工務店での設計について

まずは一条工務店のトートバッグ

仮契約すると、いよいよ設計スタートです。初回の図面を貰う際にこのようなバックを頂けます。とてもかわいらしいですね。これを持って住宅展示場を歩いてると一条の施主だということがすぐにわかります。設計が終わり最終確認である着工承諾が本契約となります。

 

全部が一条ルールではない

誤解が多いと思いますが、iシリーズを選択すると、一条ルールと言われる設計上の制約が多いと感じると思います。ただ、間取りに関してはツーバイ工法の制約が殆どであり、窓の大きさや耐力壁の必要性などはどのハウスメーカーで建てても同じです。

ツーバイ工法は箱のようなモノコック(構造区画)を繋ぎ合わせる工法であるため、開口部(窓など)の長さは区画の長さ4分の1の長さまでと決まっています。構造区画における床面積の上限も決まっておて、構造区画の継ぎ目が垂れ壁となります。

一条工務店の設計は尺(303mm)が基本にあります。壁の長さのピッチが455mm(1.5尺)以上にする必要があるのは一条工務店が工場生産をしやすくするためのルールだと思います。そしてマス(910mm)という言葉が良く出てきます。

そして、住設に関して一条工務店はフィリピン工場でオリジナルの住設を生産しているため、規格が決まっている住設の一部を改造する事は無理でしょう。私も浴室換気扇を排気から給気に替えて欲しいとお願いしましたが、これはOKが出ませんでした。

一条工務店の場合、本棚やクローゼットは特別な料金を払わなくても殆ど標準で付ける事ができます。フィリピン工場で作っているため内部造作のコストが安いのでしょう。ただ、標準といっても収納を増やせば坪数が増えてしまうため、無料という訳ではありません。私は家が小さい場合にこそ、部屋を広くするよりも収納を沢山取った方が部屋が片付くので良いと思ってます。

 

設計図はフィリピン工場(HRD)で製図される

設計士さんが打合せの後、内容を本社に確認すると言われると思いますが、実際はフィリピン工場に確認をしています。なぜなら、実際に家のパーツを作成するのはフィリピン工場だからです。工場で加工できるかを確認している事になります。

図面は打ち合わせから1週間程度でもらえますが、設計士さんに言えばデーターでもらう事もできます。毎回全部のページを印刷してもらうのも心苦しいですし、データーで貰った方が早く頂く事ができます。

 

稟議

工場生産であるため、標準以外の仕様は稟議を本社に提出して許可を得る必要があります。しかし、一方で注文住宅ですから室内の造作や社外品のキッチンなどを採用したいでしょう。標準以外となると設計士さんは本社に稟議書を書かなければなりませんから手間であると思います。

何でもかんでも稟議にしてしまう施主は困りものだと思いますが、どうしてもやりたい事に関しては何回もお願いしてみると良いでしょう。稟議は断られてからがスタートなんていう言葉が一条施主の間に認識されているぐらいですから。

 

ハニカムシェードスクリーンがオプションの場合は?

iシリーズはハニカムシェードは標準ですが、一条工務店ではハニカムシェードが標準でない商品モデルもあります。その場合はハニカムシェードを付けずに、後付けになるかも知れませんが、内窓(インプラス等)がお勧めです。

ハニカムシェードは断熱性能が高いですが、不織布で出来ているため水蒸気が簡単に通過してしまいます。冬はハニカムシェードによって室内の暖かさが断熱されて外窓の温度が下がります。ハニカムシェードを通過した水蒸気は冷えて窓の結露の原因となってしまいます。

インプラスのような内窓は水蒸気を通し難いため窓の結露がし難い事と、内窓は防音効果が抜群です。また、窓に日除けを設置する際にも内窓があると内窓と外窓の間にスダレを設置する事ができるため、窓で暖められた空気が入ってくる事が防止できます。

 

冬に体感温度の高い間取りの作り方

床暖房のような輻射暖房にすると快適になるなんて言われてますが、それだけでは感動する暖かさの家にはならないでしょう。家中の温度が2℃以内(目標1℃以内)と均一になっている高気密高断熱住宅と各部屋の室温がバラバラになっている高気密高断熱住宅では体感温度=住み心地が違います。

設計にあたっては土地の立地条件からみて、車を止める位置と玄関と階段の位置を考えるとほぼ間取りは決まってしまうと思います。そして一階と二階の廊下を少なくすると室内が広くなることになります。狭い土地であれば廊下をどれだけ少なくするかが設計のポイントとなると思います。

ただ、トイレはリビングに隣接されるのは困りますから、トイレは居室に隣接しないように居室のドアの外に設置した方が良いでしょう。i-シリーズでは階段の下にトイレを入れる事もできますが、廻り階段の下にトイレをピッタリ納めると狭いです。

二階の間取りを考えるとおおよその階段の位置が決まってきます。リビング階段という手もありますが、冬は冷気が下りてきますから、後述するコールドドラフト対策が必要になってきます。

玄関ホールは最低2マスは必要でしょう。そこにトイレ、階段、リビングへの入口を設ければだいだいの間取りは決まってしまいます。南玄関にすると南側に部屋を作る事が難しくなりますから、玄関は北寄りになりやすでしょう。

玄関は断熱が弱いため冬は冷えます。一条工務店で選択できる最高の断熱性能であるK1.5の分厚い玄関ドアもトリプルサッシの半分程度の断熱性能しかありません。一条ハウスの性能を過信せず、階段や玄関ドアから冬季は冷気が発生すると考えないと、床暖の設定温度を高くせざるを得ないでしょう。

一条施主の間においても、以前の家と比べると暖かいと思う人と体感温度として本当に暖かい感じている施主に分かれていると思います。家のQ値が良い=暖かい家という訳ではありません。

Q値は家の断熱性能の平均値を表しているため、家の断熱の弱い部分から発生するコールドドラフトを防ぐにはQ値を見ているだけではできません。ぜひ、Q値からは分からない体感温度の高い家を設計しましょう。

体感温度を上げるにはコールドドラフト対策が必要です。部屋の温度差の目標は1℃以内、大きな窓を設けたいのであれば、エアコンの風が窓にあたる若しくは冷気の流れを押し返す設計が良いと思います。

リビング階段も二階を温めないと二階から冷気が下りてきますから、二階と一階の室温を1℃以内を目標に調整して空気が対流しなくなるようにする事が必要でしょう。

玄関は冷えますから、断熱性能の高い玄関ドアを採用する事と床暖房の区画の割り方を工夫して玄関ホールの設定温度を高くするか、エアコンや天井サーキュレーターからの風がコールドドラフトの通り道に当たるようにするとよいと思います。玄関ホールが広い場合は玄関ホール小型エアコンを設置するもの良いでしょう。

なお、床暖房以外にエアコンを動かすと電気代が上がると思うのは逆で、ヒートポンプ機器は分散して1台当たりの負担を減らした方が燃費は向上するのです。

 

高気密を通年で利用する設計

冒頭に記載してある設計ポイントを纏めると以下に掲げる項目を意識することになります。窓を1年中開けずに高気密を通年で利用する生活スタイルがお薦めです。特に花粉症の方には最適でしょう。

これは一部の優秀な地場ビルダーが実施している手法ですが、性能に優れる一条工務店の家にこの手法を取り入れる事は施主次第では可能です。そして、私が二軒目に建て、全館冷暖房を実施している高気密高断熱住宅の生活をもとにした意見です。

高気密高断熱住宅は自然任せのパッシブデザインではなく、体感温度の優れた設計に加えて市街地での風通しを期待しない確実性の高いアクディブな設計がゴールとなるでしょう。また、花粉症の方にとっては通風で室温調整する家は辛いだけです。

結果的に窓を開けることがほぼ無くなるため、網戸は必須ではなくなります。地震等で電気が止まることに備えて網戸はあっても良いですが網戸は最低限の設置で良いと思います。

窓はお好みで大きく開放的にしても良いですが、窓の日射制御が必要であるこ事と冬は窓際が冷えます。寒冷地のトリプルサッシや温暖地のペアサッシによる大窓にはエアコンの温風が当たる設計にするなど、それなりの設計をする必要があると思います。

全ての部屋の窓を大きくすると高気密高断熱住宅は室温のコントロールが難しくなるため必要な部分だけ窓を大きくして高気密高断熱の特性を理解した設計をすべきでしょう。

 

C値=1.0cm2/m2以下

気密性能に関しては設計方法ではないのですが、ハウスビルダー選びのとても大事なポイントなのであえて記載しています。

気密性能の指標であるC値ですが、ほとんどのハウスメーカーが気密測定をしません。一条工務店では社内基準で中間検査時に0.7cm2/m2以下となっておりますが、1.0cm2/m2以下の気密性能の家でないと本来は高気密住宅とは言えないと思います。

家の広さである床面積(m2)に対して建物全体の隙間がどの程度(cm2)あるかということを表しています。本物の高気密住宅では家中の隙間を全部足してもハガキ1枚の面積にもなりません。多くのハウスメーカーが謳っている高気密はウソなんです。

家の隙間が大きい家は冷暖房費が多く掛かるという事に加えて空気がしっかりと引っ張れないため換気がしっかりできない事が問題でしょう。ペットや子供、老人などを抱えている住宅ではしっかりとした換気ができる家が必要になってきます。

気密性能を上げるのには材料費はそんなにかかりませんが、関係者への教育と工事の管理徹底が必要であり、知識不足や工事を現場に丸投げしているハウスビルダーではできないのでしょう。要するに工事の施工精度や管理のレベルが高くないという事です。

気密測定をしないハウスビルダーの説明は、この地域では不要とか、そこまでいらないとか、施主がC値の保証を要請しても受けてくれない事が多いです。とても納得できるものではありませんから、C値1.0cm2/m2以下を保証できるハウスビルダーと契約しましょう。

 

大窓は外側に日除けを付ける

昔の家は屋根の軒が大きく出て、窓にも庇が付いていました。これは主に雨漏り防止のためだったのですが、現在は防水の技術が進化した事から、軒や庇がない家が増えてしまいました。

ここに住宅の高気密高断熱化が進んできた事により、日除けのない窓からの日射侵入により春からオーバーヒートして熱帯夜になる家が増えています。全ての窓に日除けを付けるのは困難ですから、日当たりの良い方角の大きな窓は日除けを付けましょう。

ロスガードは初代のダイキン製には普通換気(バイパス)機能があったようですが、現在のロスガードにはバイパス換気機能がないようですので、梅雨前から窓に日除けは必要になってくるでしょう。

一条工務店では温暖地においては遮熱ガラスや西側は遮熱ハニカムを採用していますが、日射を遮るには十分ではありません。特に日当たりの良い南側の部屋は春から蒸し暑くなります。

なぜなかと言えば、日射は窓の外で遮る場合と室内で遮る場合では倍以上も効果が違うからです。解決方法は窓の外に小型の物干し金物を付けてスダレを掛けることだと思います。

一条工務店にはアーバンルーフという庇がオプションで設定されていますが、金額が高額である事と、庇の場合は豪雪地に向かない事から、窓の上に簾掛けを設定する事が最適であると考えられます。

 

南以外の窓は大きくしない

何となく開放的だと思って、大きな引違窓や掃出窓がついた家が多いと思いますが、これが高気密高断熱住宅の場合はオーバーヒートやコールドドラフトを招きます。勝手口に大きなガラスのドアを付ける方が多いと思いますが、特に必要のない窓やドアは減らした方が冬の寒さ対策になります。寒冷地では特にコールドドラフト対策は重要でしょう。

窓の外に景色が見えないなら、大きな窓を付ける必要はありません。また、日当たりが良い家であっても、人通りが多い方向の窓は日中にレースカーテンを閉めざる得ないため、日射が十分にとれません。

すなわち、大きな窓を付けても効果が得られず、むしろ大きな掃出窓は夜間に冷気が発生するというデメリットの方が大きくなってきます。実際は腰高の窓や小さな窓で十分な場所にも関わらず、無理に大きな窓を付ける必要はないと思います。

南側は正面から日射が入るため窓に日除けを付ければ日射制御は簡単なのですが、実は東西側からも南側と同じぐらい日射が入ってきます。家の全部の方向の窓に簾を掛けるのは手間ですから、南側以外は最初から窓を大きくしない方が良いでしょう。

南側においても、一階に掃出し窓を設置した場合に、その上部に90センチ出幅のバルコニーがあっても、春分(3月20日頃)には、窓の5分の4は日射が入ってきますから、どうしても掃出し窓が必要な場所でなければ腰高の窓にした方が良いでしょう。

明り取りや眺望という意味の窓であれば、腰高以上の窓で十分です。高い位置に窓があると北側でも明るいため、南以外の窓は高い位置に小さく付けることがコツだと思います。掃出し窓は熱の損失が大きいため少ない方が良いでしょう。

窓が小さいと窮屈と考える方も多いと思いますが、窓を大きくするデメリットもありますから、両方を考慮したサイズを検討されると良いでしょう。また、引違の窓は気密と断熱が若干さがるためFIXや開き窓の方が性能が良いです。

 

春と秋に窓を閉めても暑くない家

高気密高断熱住宅は基本的に窓を開けないなんて聞きますが、実はウソです。窓を開けないと温度調整できずに熱中症になってしまう家が大半です。ただ、窓を開けると家族に花粉症や気管が弱い人がいると可哀想な目に合うので窓を閉めても温度調整ができる家を設計したいものです。

そして、窓からの日射熱により春から窓を開けないと過ごせない家は夏の冷房費用が上がります。絶対湿度の低い春は窓を開けると気持ちが良いと思いますが、窓の日除けがない家は夏の室温調整に苦労します。

高気密高断熱住宅の設計に関して「窓をきっちり閉められる家」という言葉があるのですが、高気密高断熱住宅は熱が室内に籠るため、この言葉を達成しようとすれば設計する上で色々な考慮が必要になります。

設計上、2つの考慮が必要になり、まず陽の当たる大窓に日除けがあること、そして全館冷房ができる家であることです。この2点が出来ていないと家の中が蒸し暑くて窓を閉めて生活することはできないでしょう。

私は高気密高断熱住宅に住んでから最初の夏は窓を開けて通風を試みましたが湿度が高くなってしまい快適ではなかったため、窓を閉めてエアコンを24時間運転する方式の方が快適である事がわかりました。

窓の外側に日除けを付けて窓を閉めれば外気の肌寒い春と秋は室温が丁度良く暖かくなります。そして、梅雨から夏は全館冷房、冬も全館暖房をするとなると、窓を開ける機会がなくなってしまいます。

窓を開けて外の気持ち良い空気を入れたいと考える人が多いと思いますが、高気密高断熱住宅にはもっと快適な世界があるのです。

空調された室内での生活を体験してしまうと窓を開ける方が快適ではないので、私はもう窓を開けようとは思いません。季節を楽しみたい時は外に出ると新鮮な気持ちで季節を楽しむことが出来ます。

なかなか理解して頂けないと思いますが、これは冬季の全館床暖房を手放せないと一条施主が思う感覚と同じです。窓を開けるかどうは個人の好みですが、窓を開けないと温湿度が調整できない家にならないように注意して設計した方が良いでしょう。

 

冬は家中の温度差1℃以内を目標

このレベルまで意識して設計された高気密高断熱住宅は少ないと思います。ISOの7730では人間は頭と足付近で3℃違うと不快に感じると言われています。室温が高くても足元に他エリアから冷気が流れてくる家はなにか物足りない感じがする家という事になります。

冬の展示場でトリプルサッシの周りにいても寒くないと感じると思いますが、展示場は室温の設定が高いためコールドドラフトが分からないと思います。入居宅訪問の時に放射温度計で床、壁、窓、天井を測ってみるとわかると思います。

床暖房を入れているから大丈夫という事ではありません。床暖房の各区画の温度設定の問題なのです。一階と二階という縦方向もしくは一階や平屋の場合は横方向の区画ごとの温度差がコールドドラフトの発生源です。

暖かい空気は上に昇り、冷たい空気は下にさがります。区画間に温度差があると空気が動いて入れ替わってしまい、室温の高い区画の足ものには他エリアからの冷たい空気が流れ込んで来ます。

各居室の温度差が2℃以内(1℃以内を目標)になるように床暖房の温度設定をすると、空気が動かなくなり体感温度が上がります。また冷気が沢山発生するのは玄関と大きな窓です。玄関は(浴室も)室温を高く設定できるように床暖房の区画を分けると良いでしょう。

大きな窓がある家の場合はエコアンを併用して、エアコンからの温風が人に当たらずに窓に向かう位置に設計すると快適になると思います。トリプルサッシといえども大きな窓を希望する家はそれなりの設計が必要だと思います。

 

夏は24時間全館冷房で家中を除湿

小型エアコン1台による全館冷房はほぼ良い事しかありません。初期投資とランニングコストが低いにも関わらず、高温低湿度で冷房病や熱帯夜と熱中症がない環境が作れますが、エアコンの設置場所には若干のノウハウが必要です。

夏は湿度を60%以下に維持することで主要なアレルゲンであるダニの発生およびカビの発生を抑制する事ができます。唯一の欠点として、二階のエアコンからの涼気が各部屋に行き渡るという事はロスガードから屋外に排出されるべき空気が戻っている事になり、二酸化炭素濃度が若干上がります。

ただ、現自宅で生活してみて人の集まるリビングで1200ppm程度ですから、建築物環境衛生管理基準で推奨される居室内のCO2濃度1000ppm以下よりも若干高く、学校環境衛生基準にある1500ppmは超えないという状態です。

一条施主の中でも狭い居室に2名いると1000ppmを超えるという報告もあり、恐らくどのハウスメーカーの家でも同じだと思います。3000ppmを超えるようであれば息苦しさを感じると思いますが、1000ppm前後では生活に支障はないと思います。

 

床暖房の区画は日影と日向で分ける

冬季に家中の温度を均一にすると空気の動きがなくなって住み心地が良くなります。日影の部屋と日向の部屋の床暖房の設定温度が同じ場合、日陰の部屋から冷気が日向の部屋に流れ込んで来ます。

これを防止するには、日陰の部屋と日向の部屋の床暖房のエリアを別にして、日陰の部屋の設定温度を高くすると良いでしょう。一般的には北側が日陰になるため、南と北で床暖房のエリア分けをすることになると思います

また、玄関はドアの断熱性能の低さと土間の断熱が弱いため、玄関の床暖房は温度を高くできるようにしておいた方が良いと思います。浴室に関しても脱衣するエリアの床暖房は高温に設定できると良いでしょう。

 

RAYエアコンは吹抜けか階段ホールへ

一番、全館冷房が簡単にできる方法だと思います。二階の吹き抜けや階段ホールの二階部分にエアコンを付ければ全館冷房ができるようになりますが、よくわからない方は本格的な再熱除湿が付いたRAYエアコンを利用すると良いでしょう。

設置場所は吹き抜けや階段ホールから二階にも冷気を落とせる位置である必要があります。そうしないと二階にエアコンをつけても一階しか冷えないということになってしまいます。

省エネに拘る方は小型のエアコンを設置して消費電力の削減にチャレンジするのもよいですが、最近のエアコンは除湿が苦手であり本格的な再熱除湿が搭載されていない機種が多いことから、機種選定が難しくなっています。

なお、通常はRAYエアコンは床暖房の補助として一階リビングに設置する場合が多いですが、一階リビングには一番小型で安いエアコンで十分だと思います。

 

洗濯物は完全部屋干し

夏に全館冷房をしているメリットとして室内に洗濯物を干すと屋外に干すより早く乾くという事です。これは外気の方が湿度が高いため当然の結果と言えますが、早く乾くという事は生乾き臭が発生し難いという事になります。

洗濯物を干すためにサンルームを設置する方もいると思いますが、サンルームは室外ですから、洗濯物を干すのであれば相対湿度を低くコントロールできる室内に場所を確保した方が良いでしょう。

実際に現自宅では1年を通じて部屋干しだけで洗濯物を乾かしていますが、特別な洗剤を使わなくても臭いは発生していません。今回、i-cubeを建築するにあたりベランダは設けませんでした。現自宅において使った事がないからです。

雪国の方で冬季に全館暖房をしていて室内に洗濯物を干している方には部屋干しでも臭いが気にならない事は理解できると思います。また、夏は全館冷房をすることで、ダニを発生させないという事も部屋干しの重要なポイントでしょう。

完全部屋干しをするには部屋干し空間が必要になってきますが、最大の利点は洗濯が天気と時間に捉われなくなるという事です。外が雨でも夜遅くても関係がないため、共働き世帯では生活にゆとりが生まれると思います。

 

室外機の位置と騒音に注意

テレビでも取り上げられていましたが、騒音の発生源が一条工務店の家という場合が多いそうです。なぜかというと、24時間床暖房を運転している家が多いからです。一般的にはまだ24時間ずっと暖房している家は少ないと思います。

エアコン、床暖房、エコキュート等のヒートポンプを使った製品には外部と熱交換するために室外機というものが設置されていますが、低周波騒音や振動音といった室外機からの音が問題となります。

隣家の方が夜も眠れないという事になると今後のご近所付き合いも円滑にならないでしょうし、設置場所によっては自宅側でも騒音を感じます。老人がいる家庭では一階に寝室を移しているケースが多いです。

オール電化や24時間全館冷暖房の家にする際には、設計時点から自宅と隣家の居室部分ではない場所を選んで、室外機を置く必要があるでしょう。必要に応じて隠蔽配管をして隣家の迷惑にならない場所に室外機を設置すると良いでしょう。

 

最後に

私の設計方法をみると、一般的なハウスメーカーの住宅設計からは随分変わっているなと感じるかもしれません。しかし、技術力のある地場工務店はこのような設計方法をしています。

今回のi-cubeの建設は私にとって三軒目の注文住宅の建設になります。その前の二軒目の家は地場工務店での高気密高断熱住宅です。共にC値が1.0cm2/m2以下の高気密高断熱住宅です。

世間から見て変わった設計に見えるのは全館冷房を体験しているかそうでないかで家の設計思想がまったく変わるからだと思います。ぜひ、冬の全館床暖房の感動に勝るとも劣らない全館冷房を設計に取り入れる事をお勧めします。

窓を開けて生活しても構いません。でも、「窓を閉めても生活できる家」という言葉を思い出して、窓を開閉できない老人や子供、ペットがいる場合の熱中症や花粉症が回避できる家を目指されると良いでしょう。

冬以外にも高気密高断熱住宅の特徴を理解して設計すれば、24時間全館冷暖房をしても、従来の家の半分以下の水道光熱費となります。全館冷暖房は贅沢とかそこまで必要ないと遠慮する必要はもうありません。

ぜひ、これから家を建てる方には一条工務店の家の特徴である冬の床暖房の感動だけでなく、自己責任になりますが、もう一歩踏み込んで四季すべてに感動する高気密高断熱住宅を設計される事を願っています。

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